比較・レビュー 公開: 著者: ソロ法人ドットコム運営者

マイクロ法人に税理士は必要か|費用相場と「自分でやる・スポット・顧問」の分岐点

PR 当記事にはプロモーションが含まれます。比較の基準と広告の取り扱いは 編集方針 をご覧ください。比較は各社公式サイトの公開情報(執筆時点)に基づきます。

当サイトは「ひとり法人の手続きは、条件がそろえば自分でできる」という立場で記事を書いています。実際、マイクロ法人の決算は自分でできるかで整理したとおり、取引がシンプルな法人なら申告ソフトを使って自力で申告まで終えられます。

ただし、それは「全員が自分でやったほうがいい」という意味ではありません。この記事は当サイトの補完として、どこから先は依頼したほうが合理的なのかの線引きを、費用相場と具体的な条件から整理します。結論を先に書くと次のとおりです。

金額はいずれも執筆時点(2026年8月)に確認できた一般的な相場観であり、事務所・業務範囲・売上規模により大きく変動します。また本記事は制度と相場の整理であり、個別の税務判断についてはご自身の状況に応じて国税庁等の一次情報の確認や専門家への相談をご検討ください。

前提の確認:マイクロ法人に税理士は必須ではない

まず事実関係の確認です。法人税の申告書を誰が作成しなければならないかについて、税理士への依頼を義務づける規定はありません。法人が自ら作成して提出する(自署・自己申告する)ことは制度上まったく問題なく、e-Tax・eLTAXでの電子申告も法人本人の名義で行えます。

ややこしいのは逆方向で、税理士以外の第三者に有償・無償を問わず税務代理や税務書類の作成を任せることはできないという点です。税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つは税理士の独占業務とされ、無資格者が行うと税理士法違反になります(出典: 国税庁「税理士制度Q&A 2 税理士の業務」)。

つまり選択肢は実質的に「自分でやる」か「税理士に依頼する」かの二択で、その中間として「決算・申告のときだけ依頼する(スポット)」があります。友人や事務代行業者に申告書作成を頼むという選択肢は存在しない、と理解しておくと迷いません。

自分でやる場合に何が必要になるか(会計ソフトと申告ソフトの役割分担、別表の作成、電子申告の事前準備)はマイクロ法人の決算は自分でできるかに、申告ソフトの具体的な料金と操作の流れは全力法人税の使い方にまとめています。

税理士費用の相場(執筆時点・2026年8月)

相場は事務所によって幅がありますが、公開されている解説から読み取れる水準を整理します。

顧問契約:月額顧問料+決算料の二階建て

顧問契約の費用は「毎月の顧問料」と「決算時の決算料」の合計で考えます。ここを月額だけで比較すると見積もりを外します。

マイクロ法人の規模で月1万5,000円・決算料5か月分なら、年間で18万円+7万5,000円=約25万円。月3万円・決算料16万円なら年間52万円です。顧問契約の年間総額は、おおむね25万〜52万円のレンジと見ておくと大きく外れません。

決算・申告のみのスポット依頼:15万〜25万円

記帳は自分で行い、決算と申告書作成だけを依頼する形です。相場は15万〜25万円とされ、年間売上1,000万円までなら25万円〜という報酬表を掲げる事務所が多いと説明されています(出典: 前掲・弥生)。別の解説では十数万円から30万円ほどという水準が挙げられています(出典: 前掲・freee)。

注意したいのは、スポットのほうが必ず安いとは限らないことです。税理士が申告書を作る前提として帳簿が整っている必要があり、記帳が未着手だったり仕訳の誤りが多かったりすると、記帳代行や修正作業が加算されて結果的に高くなることがあります。この点は後述の「準備しておくと費用を抑えられるもの」に直結します。

単発の相談だけなら数千円〜1万円台

「依頼するほどではないが、この論点だけ確認したい」という場合は、時間単位の有料相談という選択肢もあります。目安は30分以内で5,000円前後、1時間までで1万円前後とされ、初回相談を無料にしている事務所も多いとされています(出典: 前掲・freee)。年に一度、判断に迷う論点だけをスポット相談で潰す、という使い方は費用対効果が読みやすい部類です。

年間コスト比較:自分でやる/スポット/顧問

3つの選択肢を年間コストで並べます。金額は執筆時点の税込概算で、会計ソフトはひとり法人向けプランの年額3.3万〜3.9万円(詳細は会計ソフト比較)、申告ソフトは全力法人税の1.1万〜2.4万円で計算しています。

方式内訳年間コスト目安自分の作業
A. 自分でやる会計ソフト+申告ソフト約4.4万〜6.3万円記帳・決算整理・別表作成・電子申告のすべて
B. 決算のみスポット依頼会計ソフト+スポット報酬15万〜25万円約18万〜29万円記帳・決算整理まで(申告書作成は税理士)
C. 顧問契約顧問料(月1.5万〜3万円)+決算料12万〜16万円約30万〜52万円領収書等の受け渡しと月次の確認が中心

※法人住民税の均等割(標準税率で年7万円)はどの方式でも共通に発生するため、上表からは除いています。均等割を含めた維持費全体の試算はマイクロ法人の維持費にまとめています。

AとBの差は年間およそ13万〜23万円、AとCの差は年間25万〜48万円です。この差額をどう見るかは、次の割り算で考えると具体的になります。

差額 ÷ 自分でやった場合の作業時間 = その作業の実質時給

たとえばAとBの差額が年15万円で、決算・申告に自分が20時間かけているなら、実質時給は7,500円です。自分の事業の時間単価がこれを上回っていて、かつその時間を売上につながる作業に回せるなら、依頼したほうが金額面で合理的という計算になります。逆に、決算期が閑散期にあたって時間が空いている、あるいは制度を理解すること自体に価値を感じるなら、自分でやる選択に十分な理由があります。

なお初年度は制度と操作の理解に時間がかかり、2年目以降は前年の申告書を踏襲できるぶん作業時間が短くなる構造があります。「初年度だけ依頼して型を作り、2年目以降は自分で回す」という順序も、コストと学習の両面で成立しやすい組み合わせです。

依頼を検討する合理性が高い5つのケース

「なんとなく不安だから」ではなく、事実として判断材料が変わる局面を挙げます。

1. 消費税の課税事業者になった/インボイス登録をした

これが最も分かりやすい分岐点です。消費税の納税義務は、基準期間(法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免除されますが、次の場合は免除されません(出典: 国税庁 タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」)。

消費税の申告が加わると、税区分の判定、簡易課税か原則課税かの選択、2割特例などの経過措置の適用可否といった、法人税とは別系統の判断が発生します。申告ソフト側でも消費税申告は別料金(全力法人税なら1会計期間3,800円+税)です。作業量と判断の難易度がはっきり上がるタイミングなので、ここで一度専門家の関与を検討する人は多い局面です。

2. 事業が複数になった/取引類型が増えた

売上先が1社で毎月同額の請求書を出すだけ、という状態と、物販・サービス・広告収入が混在し、在庫や固定資産や外注費がある状態では、決算整理の難易度がまったく違います。特に、棚卸資産の評価、固定資産の減価償却と少額資産の特例、前払費用・未払費用の期ズレ処理あたりは、誤りが翌期以降まで尾を引きやすい論点です。

3. 税務調査の通知が来た

税務調査における調査官とのやり取り、指摘事項への説明や反論、修正申告の要否の判断は、いずれも「税務代理」に該当します。これは前述のとおり税理士の独占業務で、顧問税理士がいなければ本人が単独で対応することになります。

制度上、本人だけで対応することは可能です。ただし、調査の実務や過去の取扱いの相場感が問われる場面であり、依頼を検討する合理性が最も高い局面のひとつと言えます。なお、調査の通知後に新たに税理士へ依頼することも可能ですが、対応できる事務所が限られたり、通常より報酬が高めに設定されたりすることがあります。

4. 決算作業が期限を圧迫している

申告・納付の期限は原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。この2か月が繁忙期と重なり、毎年ぎりぎりになっている、あるいは前期に一度でも期限を落としかけたのであれば、それは時間の問題ではなく体制の問題です。期限後申告は無申告加算税や延滞税、青色申告の承認取消し(2期連続の期限後申告)といった不利益につながる可能性があります。

5. 調べても確信が持てない論点が毎年出てくる

役員報酬の改定タイミング(定期同額給与の要件)、役員社宅、貸付金・借入金の利息、繰越欠損金の管理など、調べれば情報は出てくるものの、自社に当てはめた結論に確信が持てない論点があります。毎年同じところで手が止まるなら、その論点の確認だけを単発相談で解決するか、顧問契約に切り替えるかを比べてみる価値があります。

逆に言えば、役員1名・売上先が少数・免税事業者・在庫なし・固定資産ほぼなしという典型的なマイクロ法人で、上の5つのどれにも当てはまらないなら、自分でやる構成が費用面では引き続き有利です。

探し方:知り合いに税理士がいない場合

依頼する方向に傾いたとして、次の問題は「どうやって探すか」です。紹介してくれる知り合いがいる場合はそれが最短ですが、いない場合の選択肢は大きく3つあります。

  1. 自分で検索して個別に問い合わせる: 費用はかかりませんが、料金体系が公開されていない事務所も多く、比較のために複数社と面談する手間がかかります
  2. 税理士会の無料相談・記帳指導を利用する: 各地の税理士会や商工会議所が相談窓口を設けています。ただし継続的な依頼先探しというより、単発の相談向けです
  3. 税理士紹介サービスを使う: 条件を伝えると、条件に合う税理士を無料で紹介してもらえるサービスです

紹介サービスが「無料」で使える理由

3つ目の紹介サービスについては、仕組みを先に理解しておいたほうがフェアです。利用者が無料で使えるのは、税理士側が紹介サービスに手数料(システム利用料・広告費)を支払っているからです。これは各社が公式に明記しています。

この構造から導かれる、利用者側が知っておいたほうがよい点を挙げます。

メリットは、料金の希望を含む条件を先に伝えられること、複数の候補を比較しやすいこと、直接言いにくい断りを仲介してもらえることです。デメリットは選択肢が提携事務所に限られることです。この長所と短所を理解したうえで、候補集めの入口として使うというのが、実態に即した位置づけだと考えています。

2社の違い

執筆時点(2026年8月)に各社の公式サイトで確認できた内容を整理します。数値は公式サイトの表示に基づくもので、変動する可能性があります。

サービス 運営会社利用料金規模・実績(公式表示)特徴 公式
税理士ドットコム イチオシ 弁護士ドットコム株式会社(東証プライム上場)無料(登録税理士からのシステム利用料で運営)登録税理士7,522人/累計実績465,873件コーディネーターが条件をヒアリングして紹介。24時間受付、全国対応。断りはコーディネーター経由で可能 無料で相談内容を確認する
税理士紹介エージェント パスクリエイト株式会社無料(パートナー税理士からの広告費で運営)登録前に面談・審査を実施と公式に案内専任エージェント制。ヒアリング→紹介→面談→契約の4ステップで、契約後のフォローまで担当 無料で紹介の流れを見る
  • 税理士ドットコム イチオシ
    運営会社
    弁護士ドットコム株式会社(東証プライム上場)
    利用料金
    無料(登録税理士からのシステム利用料で運営)
    規模・実績(公式表示)
    登録税理士7,522人/累計実績465,873件
    特徴
    コーディネーターが条件をヒアリングして紹介。24時間受付、全国対応。断りはコーディネーター経由で可能
    無料で相談内容を確認する
  • 税理士紹介エージェント
    運営会社
    パスクリエイト株式会社
    利用料金
    無料(パートナー税理士からの広告費で運営)
    規模・実績(公式表示)
    登録前に面談・審査を実施と公式に案内
    特徴
    専任エージェント制。ヒアリング→紹介→面談→契約の4ステップで、契約後のフォローまで担当
    無料で紹介の流れを見る

大きな性格の違いは、規模と実績で選ぶか、担当者の関与の深さで選ぶかです。

税理士ドットコムは弁護士ドットコム株式会社が運営する紹介サービスで、登録税理士数・累計実績ともに公式サイトで公開されている数値が大きく、母集団の広さが特徴です。「税理士費用を下げたい」という相談軸を前面に出しているため、すでに顧問税理士がいて費用を見直したい場合の窓口としても使えます。全国対応で、条件次第では電話での即日紹介にも対応すると案内されています。

登録税理士7,500人超のサービスを確認する 公式サイトへ移動します

税理士紹介エージェントはパスクリエイト株式会社が運営し、専任エージェントが担当につく体制を特徴として挙げています。登録税理士に対して事前の面談・審査を行っているとしており、業種や依頼内容(節税、資金繰り、相続など)に合わせた絞り込みを重視する構成です。紹介から契約後のフォローまで同じ担当者が対応する点は、初めて税理士を探す場合に相談しやすい設計と言えます。

専任エージェント制の紹介サービスを確認する 公式サイトへ移動します

どちらも利用は無料で、複数のサービスに問い合わせて候補を並べることもできます。ただし、実際に契約するかどうかを決めるのは面談です。料金体系(顧問料に何が含まれるか、決算料は別か、記帳代行の有無)を書面で確認することが、後の「思っていた金額と違う」を防ぐ最も確実な方法です。

依頼する場合、自分側の準備で費用は下がる

税理士費用は「作業量」で決まる部分が大きいため、こちら側の準備状況が見積もりに直結します。とくに決算のみのスポット依頼では、帳簿が整っているかどうかで金額が変わります。

準備しておくと交渉材料になるものを挙げます。

裏を返せば、領収書を袋のまま渡すような状態だと、記帳代行分が上乗せされて見積もりが跳ね上がります。「自分でやる」を続けてきた法人ほど、依頼に切り替えたときの費用が安く済むという関係にあります。これまで自力で回してきた経験は、依頼に切り替えても無駄になりません。

よくある質問

顧問契約とスポット依頼、どちらから検討するのが一般的ですか?

一般的には、記帳を自分で続けられるならスポット依頼のほうが年間コストは低く収まります。顧問契約が向くのは、月次で数字を確認したい、期中に相談したい論点が頻繁に出る、給与計算や年末調整もまとめて任せたい、といった場合です。まず必要な範囲を書き出し、その範囲で複数の事務所から見積もりを取ると比較しやすくなります。

途中から税理士に依頼することはできますか?

できます。期の途中からの顧問契約も、決算期だけのスポット依頼も一般的に受け付けられています。ただし、期の途中や決算直前からの依頼は確認作業が増えるため、報酬が高めに設定されることがあります。決算期の2〜3か月前までに動き出すと選択肢が広がります。

紹介サービスを使うと、直接契約より料金が高くなりませんか?

各社は、紹介経由でも直接問い合わせても料金は変わらないと説明しています。とはいえ提示額が相場から見て妥当かどうかは、利用者側で確認する話です。本記事の相場レンジ(顧問なら年25万〜52万円、スポットなら15万〜25万円)を持って面談に臨むと、判断の基準ができます。

自分でやる場合、どこまでソフトで完結しますか?

会計ソフトがカバーするのは記帳から決算書の作成まで、法人税の別表と地方税申告書の作成・電子申告は申告ソフトの担当です。この切り分けと具体的な料金は全力法人税の使い方で詳しく整理しています。

まとめ:タイプ別の選び方

繰り返しになりますが、マイクロ法人に税理士は必須ではありません。判断は「事業の複雑さ」と「自分の時間単価」の掛け算で決まります。金額はすべて執筆時点(2026年8月)の相場観であり、実際の見積もりは事務所ごとに確認してください。

自分でやる構成が合いやすい:役員1名・免税事業者・取引がシンプル

売上先が少数で在庫も固定資産もなく、消費税の申告が不要なら、会計ソフト+申告ソフトの年4万〜6万円で完結できる可能性が高い構成です。手順はマイクロ法人の決算は自分でできるかから確認できます。

スポット依頼を検討しやすい:記帳は自分でできるが申告書に不安がある

期中の記帳は継続できているものの、別表の作成や税務判断に確信が持てない場合です。年間18万〜29万円が目安で、帳簿が整っているほど下限に近づきます。

顧問契約を検討しやすい:消費税の申告がある・事業が複数・相談頻度が高い

インボイス登録済みで課税事業者になった、事業や取引類型が増えた、期中に相談したい論点が頻繁に出る、といった場合です。年間30万〜52万円が目安で、月次の関与と期中の相談がセットになります。

探し方に迷ったら:紹介サービスで候補を集めてから面談で決める

知り合いに税理士がいない場合、条件を伝えて候補を集める入口として使えます。利用料が無料なのは税理士側が手数料を負担しているためで、紹介対象はそのサービスの提携事務所に限られる点は理解しておいてください。最終的な判断は、料金体系を書面で確認したうえでの面談です。

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年間コスト全体の中で税理士費用がどの位置を占めるかはマイクロ法人の維持費で試算しています。制度面は国税庁の情報が一次情報になりますので、判断の前にご確認ください。